家紋一覧『梅』(184種)
梅の家紋の簡単解説
この紋種は、中国の江南地方を原産とするバラ科サクラ属の植物である「梅」の花や葉を象ったものです。ウメ紋は、全国的な規模で普及している家紋の一つでもあります。
この家紋のモチーフとなったウメは、古来よりの「和」の観賞植物の代表格であり、また『四君子』や『歳寒三友(松竹梅)』の一角に挙げられ、「気品や高潔さ」または「めでたさ」の象徴と見なされた存在でもあります。
このように、早くから人々にとって馴染みの存在であった梅は、やがて『梅花』文様や『梅鉢』文様として図案化されると、服飾・調度・美術工芸品などの図柄に広く用いられたといいます。
ウメの紋章・家紋はこうした梅文様のビジュアルから派生したものであり、こうした紋章は『天満宮』をはじめとした天満・天神系神社の多くで「神紋」として用いられたことで知られます。
『天満宮』『菅原道真』『ウメ』それぞれの関係とは?
『天満宮』とは、『天神信仰』の拠点神社(群)であり、天神信仰とは「雷神」と習合して『天満天神』となった『菅原道真』を祭神として崇拝する信仰をいいます。
菅原道真とは、高名な学者でかつ、政治家としても国政執行を担った平安時代前期ごろの人物です。また彼が「幼少のころよりの筋金入りのウメ好き」であるのは、現代にまで知られる種々のエピソードが伝えるところです。
天神信仰の成り立ちとは?
そんな道真が神として崇拝されるに至った経緯は、その後の彼が、政敵の讒言によって九州の役所へ流罪同然に左遷され、冤罪の晴れぬままに無念の最期を迎えたことに端を発します。
道真の死後に相次いだ(道真を陥れた)政敵とその関係者の変死や若死、また頻発する疫病や自然災害は、「非業の死を遂げた道真の怨霊によるもの」とする社会通念が形成されると、これを慰め鎮めるために道真の怨霊(御霊)を神格化して祀ったことが天神信仰の起こりとされています。
その後、天神信仰は大いに隆盛したようで、天満・天神系の神社は、全国に12,000を数えるほどの広がりを見せることとなります。これらの神社が、そのシンボル(神紋・社紋)にウメの紋章を掲げるのは、(上述のとおりの)道真の『無類のウメ好き』にちなむものとされます。
人々がウメを家紋に用いた由来は主に2つ?
現代におけるウメ紋の広範な普及の主要因にこうした『天神信仰の隆盛』が挙げられるのは、天神信仰の信者や関係者の中に、(信仰のシンボルである)ウメの紋章を家紋に据えた者が少なくなかったからとされているようです。
また、道真の生きた時代には家紋そのものが存在しなかったため、道真自身がウメを家紋に用いることはありませんでしたが、後世になって、菅原氏やその後裔氏族(←自称含む)の多くがウメの家紋をこぞって用いたといいます。
これは史上に名高い道真の流れを汲む血筋であることを示す狙いがあったと見られていますが、こういったこともウメ紋が広範な普及に至った大きな要因の一つといえそうです。
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