横木瓜

家紋「横木瓜」の高精細画像。

横木瓜(よこもっこう)紋とは、古代中国の吉祥文様である『窠』文様を元にして成立した『木瓜紋』の一種ですが、ここではそんな横木瓜紋と形状が瓜二つである(ただの)木瓜紋との違いを始め、横木瓜紋の持つ意味や由来などをご紹介しています。

「木瓜」と「横木瓜」の違いとは?

この紋章(家紋)は、「織田木瓜」「庵木瓜」「四方木瓜」などの種類で知られる『木瓜紋種』の一つです。形状はオーソドックスな「木瓜」紋に酷似していますが、それもそのはずで「横木瓜」と「木瓜」はどちらも同じ紋章を指す名称だったりします。

どちらの呼称が一般的か?

個別紋としての『木瓜(横木瓜)』は、数ある木瓜紋種の中でも代表的かつ基本形と見なされている紋章です。

「陰木瓜」「剣木瓜」「唐木瓜」「三つ盛り木瓜」「石持ち地抜きに木瓜」「庵木瓜」などを始めとした多くの木瓜紋種は、この「木瓜(横木瓜)」の個別紋から派生したものだからです。

「木瓜(横木瓜)」紋の変形種の画像例

ゆえに木瓜の紋種名は、個別紋としての「木瓜(横木瓜)」に由来するものですが、こうした背景を考えれば、個別紋「木瓜(横木瓜)」の正式名称は「木瓜」が本来であり、「横木瓜」は別称に当たるものといえます。

地域や環境によっては「横木瓜」の呼称を一般的に感じるという人も少なくないかも知れませんが、上記の例からも分かるように「木瓜(横木瓜)」の個別紋から派生した多くの種の名称に「横」の語が含まれていないことを考えれば、「横木瓜」はあくまで別称と考えるのが自然だといえそうです。

木瓜紋に別称があるのはなぜ?

「木瓜の個別紋」に対して、『横木瓜(よこもっこう・よこもっこ)』の呼称が一定程度の定着を見たのは、単に「木瓜紋」と表現した際に生じるであろう【紋種としての木瓜】と【個別の木瓜】の混同を避けるためということが考えられます。

なぜ【横】なのか?

その別称が『横』木瓜となった理由には、木瓜紋種の中でも縦横の比率が同一の形状である「四方木瓜」や「織田木瓜(五瓜)」「六瓜」などと比較して「木瓜の個別紋」の比率が横長であることがまず考えられるでしょう。

縦横比率が同一の木瓜紋の画像例と竪木瓜の画像

また、木瓜紋種の中には「木瓜の個別紋」を回転させて縦にした「竪(たて)木瓜」なる紋章がありますが、「横」という視点については、この紋章との関係性から来たものかも知れません。

木瓜紋の由来とは?

木瓜の紋章(家紋)は、木瓜文様から派生したもので、この文様はかつて『窠(か)』文様の名で知られていました。

「窠文様」とは、古代中国における吉祥文様の一種だったものが伝来して定着したもので、当地では主に官吏が宮廷に出仕する際の衣服である「朝服(ちょうふく)」に用いられた文様だったといいます。

木瓜の前身である「窠文」とは?その詳細

「窠」とは、数ある鳥類の棲家のうち、地上や地中などの "低地" に営巣されたもの全般を指す語というのが本来であり、この文様のデザインが「卵を抱えた水鳥(みずどり)の棲家(窠)を真上から見た形」に似ていることがその名の由来となったようです。

卵を抱えた水鳥のイメージ画像

古代中国において、「窠文」が吉祥文様に位置付けられていたのは、この水鳥の『棲家と卵』が『子孫繁栄』に通じると見なされた事によるといいます。

ちなみに、日本において生物の棲家を表す場合、その多くで『巣』という語が用いられることが一般的ですが、この「巣」とは元々、樹上などの "高所" に営巣された鳥類の棲家を指すものなので、広い意味で『「窠」と「巣」は同義』と捉えると、「窠」をイメージしやすいのではないでしょうか。

窠と巣の違いの説明画像

木瓜紋の意味

この中国古来の伝統文様が日本へ伝来したのは奈良時代ごろとされ、(古代中国と同じく)子孫繁栄の吉祥文様として皇族・貴族の調度や意匠に広く用いられたといいます。

現在に知られる代表例に、霰(あられ)文(「格子文様」の一種で市松文や石畳文に酷似する。)との組み合わせによる『窠に霰』文があります。

?に霰のイメージ画像

『窠に霰』文は、特に公家の男子の正礼装(束帯)の「袴=はかま」の部分や、公家の女子の正礼装(十二単)の「裳=も。下半身の背面部分を覆う衣服」の部分に用いるべき文様として「※故実(こじつ)」に定められていた程でした。

※故実…先例を典拠にして定められた貴族が守るべき細かな儀礼のこと。

束帯の袴と十二単の裳の画像

※画像出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム(https://colbase.nich.go.jp/)

現代にも受け継がれる "あの調度品" の定番文様

一方、窠文の単独使用の場合、よく知られるのは「※御簾=みす」の「※帽額=もこう」部分における使用であり、「窠文といえば帽額の文様」と連想されるほど頻繁に用いられ、これが定着・慣習化し、現代に至るまで受け継がれています。

御簾の帽額のイメージ画像

※御簾…日本で古来より宮殿や神殿に用いられてきた「すだれ」の一種。日除けや目隠しの他、寝殿造りにおいては、屋内空間の間仕切りなどに不可欠な調度品といえた。竹のひごで編み、各種の布帛で縁が装飾されているのが特徴。

※帽額…御簾の四方の「へり(縁)」のうち、上縁(額)に被(帽)せるように張った染織物のこと。装飾や額隠しの意味合いが強い。

木瓜紋の由来の実際

窠文の呼び名が「もっこう」となったのは、「帽額の文様として慣習化した」ことに因むものであり、さらに後には、この文様の見た目がウリの断面に似ることから、やがて「木瓜」の字があてられるようになった(家紋の場合は特にこの名称が用いられる)といいます。

ウリ科の植物の断面画像

家紋・木瓜の由来には、こうした「見た目」の関連から「キュウリやマクワウリをモチーフとした紋章」とする説も根強いようですが、実際は古代の大陸文化が発祥の紋章と考えるのが自然といえそうです。

以上が【横木瓜】の解説でした。その他の木瓜紋については↓こちらから。

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【横木瓜】紋のフリー画像素材について

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