陰片喰
陰片喰紋は、比較的よく目にする家紋である片喰紋の一種ですが、"片喰"の部分はもちろん、"陰"は何を意味するのかについても、その由来とともに詳細に解説しています。
数ある紋属の中でも、5代紋の一つに数えられるほど、現代においても幅広く普及している片喰(酢漿草)紋ですが、案外その意味や由来は知られていないもの。
そんな片喰紋の中では、あまり目にすることはない[陰片喰(陰酢漿草)=かげかたばみ]。そこにはどのような由来が秘められているのでしょうか?
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陰片喰紋の意味とは?
陰片喰紋は、多年草のカタバミをモチーフにした"片喰紋"の一種です。カタバミは山地から平野部まで、日本各地のどこにでも自生している、いわゆる"雑草"です。
茎は地表を全方位に這うように広がり、地下には球根を持ち、そこからさらに地中に根を下ろします。さらに多年草であるため、地上の茎や葉をキレイに刈り取っても、その球根から何度も茎や葉が再生するので、根絶させることが非常に困難な雑草の一つです。
カタバミは"片喰"とも"酢漿草"とも表記されますが、ここからは"片喰"に統一します。
カタバミが家紋となる流れ
カタバミは古代の日本では、葉をすりつぶして鏡の表面を磨いたり、生薬として用いられたりしました。また、その愛らしい葉は、古くから中央貴族に文様として用いられてきた歴史があります。
貴族が用いたその文様がデザインの元となって、やがて紋章として取り入れられるようになりました。先述のように、一度根付くとなかなか根絶できない事、繁殖力が強い事などが「(家が)絶えない」「家系の発展」に通じる事から、武家に人気のある紋章となったようです。
片喰紋は一大勢力に
流行した紋章であるがために、例えば"葵の御紋"のような特定の権力者が用いて、他家や後の庶民が遠慮するような事態にならなかった事が、普及を後押しした部分もあるかもしれません。
江戸時代に庶民にも家紋を用いる文化が定着していく過程で、片喰紋が多く選ばれた背景には、それ以前に武士という特権階級に広く普及していた事実と無関係ではないでしょう。※さらに詳しく片喰紋を知りたい方は下のリンクから。
陰片喰の[陰]について
今回取り上げた、陰片喰紋の[陰]とは何でしょうか?実はこれ、"陰紋"と呼ばれる家紋の表現方法の一つなんですが、最後にこの陰紋について解説してみたいと思います。
陰紋とは?
[陰紋=かげもん]とは、家紋の表現方法の一つで、[日向紋=ひなたもん]と言われる元々の家紋の形状(今回の場合は[片喰]紋)を、輪郭線のみで表現したものを言います。※陰紋の詳細な解説は以下にまとめました。詳しく知りたい方は下記のリンクから。
以上が陰片喰紋の解説でした。その他の家紋の一覧ページは↓こちらから。
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