丸に剣片喰(丸に剣酢漿草)

丸に剣片喰(丸に剣酢漿草)の画像素材。高精細フリー画像

定番家紋の一つとしてお馴染みの丸に剣片喰(丸に剣酢漿草)紋。ですが歴史上の偉人や著名人の関連や、意味や由来についても案外知られていないもの。そこで今回は、この丸に剣片喰紋について詳しくご解説。家紋を辿ることで家系やルーツの手がかりを得られる事も。

[丸に剣片喰(丸に剣酢漿草)]紋とは[片喰(酢漿草)]紋の一種です。片喰紋は、カタバミ科カタバミ属の多年草であるカタバミをモチーフにして図案化された[植物]紋です。ちなみにカタバミは"片喰"とも"酢漿草"とも書きますが、記事では"片喰"で統一します。

数ある植物紋の中でも[藤]紋や[桐]紋に並び、5大紋の1つに数えられるほど、日本に広く普及している紋種でもあります。そんな片喰紋の中でもこの丸に剣片喰紋は、一番の占有率を誇るとされています。

ここでは、その丸に剣片喰紋が広く用いられるようになった由来や、その文様に込められた意味などを解説しています。

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片喰紋に込められた意味とは?

丸に剣片喰紋は、一般的には植物紋に分類されますが、その図案の中に、尚武紋である[剣]紋が組み合わされています。家紋の長い歴史の中で、元の片喰紋から派生した形というわけです。

ここには一体どのような意味合いがあるのか、まずは[片喰]の側面から見てみましょう。

片喰(酢漿草)の草。小さくて黄色い花と、ハート型の3枚葉が特徴。

カタバミは、山野や農村など、どこにでも自生し、葉はハート型の三枚葉で、春から秋にかけて、5つの花弁を持つ黄色い花を咲かせます。

茎は地上近くを這って伸びる匍匐茎が非常によく発達するため、瞬く間に地表に広がります。地下には球根を持ち、そこからさらに地中深くに根を下ろします。

多年草であるため、地上の茎や葉をキレイに刈り取っても、球根から茎や葉が、何年にも渡って再生を繰り返してしまいます。完全に根絶するには、一面を深く掘り返して、根をすべて取り除く必要があるため、一度根付くと駆除が非常に困難な雑草の一つです。

かつての日本人とカタバミ

別名を鏡草と言い、古代の日本では、その葉をすりつぶして鏡の表面を磨く為に使用されたり、また、消炎、止血、解毒、下痢止めなどの作用がある事から、酢漿草(サクショウソウ)と呼ばれる生薬の一種ともされてきました。

片喰(酢漿草)の草で銅鏡の表面を磨いたとされる。

さらにその可憐で優雅な見た目から、古来より様々なところでその図案が、文様として用いられていたのです。カタバミとはこのように、道端やあぜ道などに生えるごくありふれた雑草でありながら、人々の生活に密接に関係してきた植物であったようです。

そのような背景と、植物としての特徴である、一度根付くとなかなか根絶できない事や、繁殖力が強い事が「(家が)絶えない」「家系の発展」に通じる事などから、とくに家系の盛衰の現実に直接的に晒されがちとなる、武家を中心に縁起物として捉えられ、家紋として用いられるようになったといいます。

続いては[剣]の側面から意味合いを探ってみます。

家紋における[剣]の意味合いは?

かつて人々に、主要な武器として用いられてきた[剣]も、尚武的な家紋のモチーフとして図案化されてきました。尚武とは、武道や武勇を重んじる心構え・「武」を尊ぶ価値観のことを言います。

青銅製の剣。丸に剣片喰(酢漿草)のモチーフの一つ。

剣紋に用いられている意匠は、日本固有の刀剣である日本刀のような、片刃で若干反りのあるのものではなく、それ以前に古代日本で用いられていた青銅製の両刃直刀のものがモチーフになっています。

なぜ、剣紋のモチーフが日本刀ではないのか?

日本刀の歴史は案外に浅く、源平を中心とした武家勢力の台頭があった、平安時代後期ごろにようやく現在知られるような型状になったとされています。その後の日本の刀剣類は大半を片刃が占めるようになり、両刃直刀のものは廃れてしまいます。

日本刀。丸に剣片喰(酢漿草)紋のモチーフは、こちらではない。

しかし、武器をモチーフとした文様が成立した時代はそれよりも古く、その当時に武器を象徴するものといえば、片刃の刀剣ではなく、草薙剣や天羽々斬のような両刃直刀の方だったのです。

それだけではありません。金属類の精製技術を持たない古代の日本では、大陸よりもたらされる金属製の武器というのは大変に貴重で、ただの道具と言うにはあまりに価値が高すぎました。

日本刀一千年の歴史も文様にはかなわない?

確かに一部の日本刀にも、単なる武器以上の価値を見出す個体も存在しますし、その根拠も妥当に感じます。しかし、その歴史の長さと当時の希少性を考えれば、かつての日本人には、どちらがより武器としてシンボリックであったかは想像に難くはありません。

それは、十束の剣などのように、神話の時代のエピソードには、ほぼ剣が付き物である事、草薙剣が天皇の即位の正当性を担保する三種の神器に含まれている事などからも明らかではないでしょうか。

三種の神器のイメージ。かつての剣は武器という側面の他にシンボルとしても重要な存在だった。

古代の刀剣は、武器としてだけではなく、祭祀用の祭器としての側面も色濃いもので、日本刀が主流になった後は、その側面がより顕著なものとなったようです。

このような背景を考えると、尚武の象徴として剣を捉えた時、その用いられた意匠が後発組の日本刀ではなく古代の剣の方であったのは、ごく自然な成り行きだったといえます。家紋を含む、日本の文様の歴史の深さを象徴するエピソードともいえますね。

片喰紋が普及した由来とは?

片喰紋は、先に解説したように家紋の成立する以前より、身の回り品などの文様に用いられていましたが、室町時代に家紋として武家階級を中心に大流行します。

鎌倉幕府滅亡後に足利氏と覇権を争った清和源氏の名門・新田氏や、後の戦国時代に頭角を現す長宗我部氏・宇喜多氏、三河松平家(のち徳川家)の譜代・酒井氏などが主だった使用例でしょうか。

新田氏・長宗我部氏・宇喜多氏・酒井氏の代表的な当主。各家系とも片喰(酢漿草)紋を主に用いた。

武家が用いた際に、元のしぶとさの意味合いに尚武的な象徴である[剣]を加えて、より武門にふさわしくなるよう派生したものが剣片喰紋と言われています。

江戸時代になると、庶民階級にも家紋の普及が始まります。庶民には名字の公称が許されなかった背景もあり、家の区別に家紋が用いられたのです。

江戸時代の町並みのイメージ。この時代に家紋が庶民階級に爆発的に普及した。

それまで、家紋に縁のなかった階級までが家紋を用い始めたのですから、なぜその家紋になったかの由来に、いちいち特別な謂れが存在するとも限りません。

大抵の場合は、単に形が気に入ったであるとか、お公家やお武家などの由緒正しい家系にあやかっている、といった理由がほとんどであると言われています。

その名残は現代にも。

実際、片喰紋を含む[5大紋]の中でも、[藤]紋は日本史上最大の名門氏族とされる、藤原氏がルーツであるし、[桐]紋は天皇家の替紋で、かつ時の最高権力者が用いてきた紋です。

代表的な藤紋と桐紋。片喰紋と同じく5大紋を形成する。

さらに[鷹の羽]紋は、江戸期には大名・旗本合わせて120家が用いたとされる、大小様々な武家階級御用達の紋で、[木瓜]紋は、五瓜や六瓜も含めれば、戦国期の有力氏族である、織田氏・朝倉氏・滝川氏などが用いたことでも有名です。

鷹の羽紋と木瓜紋。片喰紋とともに武家に重用された。

片喰紋も、鷹の羽紋に並んで、武家階級に重用された家紋であることを考えれば、庶民の間で流行した家紋の1つとしても頷けますね。かつて江戸幕府により、使用が厳しく制限された[三つ葉葵]紋を思わせる型状も、普及を後押ししたとも言われます。

葵紋と片喰紋。シルエットとして捉えると、よく似ている。

今では、ほとんどの都道府県で占有率がベスト5に入り、そのうちの半分の地域で、ベスト1となるほど広く普及してる家紋で、20.000種を超える家紋の中でもその普及率は、1位であるとも2位であるとも言われるほどです。

丸に剣片喰紋から家系は辿れるか?

そんな[片喰]紋の中でも、この[丸に剣片喰]紋は、一番シェアの高い家紋だとされています。ただの片喰ではなく、[剣]片喰のほうが、庶民の心を捉えたのかもしれません。

しかし、ただの[剣片喰]紋よりもそこから派生した[丸に剣片喰]紋のほうが普及したのはなぜなのでしょうか?

まず一番大きい理由とされるのは、本家から子孫が分家する際に、その区分を明確にする意図から、元の家紋に変更を加える事案が多かったというものです。

現代日本人に最も馴染みのある家紋かも?

その中でも、圧倒的に一番多い変更のパターンは「元の文様を丸で囲う」というもの。本家よりも、枝分かれしていく分家のほうが圧倒的に多くなるので、必然的に元の文様の使用割合も少なくなります。

さらに、家紋を調度品などに描く際に、そのままの文様よりも、丸で図案を囲ったもののほうが収まりが良いからという、実用的な事情もあるようですね。

このように丸に剣片喰紋は、家紋として用いられた意味合いや、その由来も確かといえますが、それがゆえに現代では、ごくありふれた家紋ともいえます。そのため、代々の家紋が丸に剣片喰紋であるという情報だけで、家系のルーツを辿るのは難しいと言わざるを得ません。

しかし、ありふれた家紋(感覚的には、この丸に剣片喰紋が日本で一番普及している家紋のような気がしています。)ならではとも言えますが、現代でも様々な分野で、著名な人物を輩出しています。

映画界では小津安二郎監督や黒澤明監督、男はつらよシリーズの名優・笠智衆氏。芸能分野では、植木等氏・萩本欽一氏・桂文珍氏。政界からは、石破茂氏。野球界からは、川上哲治・元巨人軍監督。秋篠宮紀子親王妃殿下のご実家の川島家。など、例を挙げればキリがないほどです。

これらの人物とも、もしかしたら何らかのつながりがあるかもしれませんね。

以上が丸に剣片喰紋の解説でした。その他の家紋の一覧ページは↓こちらから。

丸に剣片喰紋のフリー画像素材について

[家紋素材の発光大王堂]は、家紋のepsフリー素材サイトです。以下のリンクからデータをダウンロードして頂けます。家紋のフリー画像を探しているけど、EPS・PDFの意味がよくわからない方は、ページ上部の画像をダウロードしてご利用下さい。背景透過で100万画素程度の画質はあります。

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