そのような背景もあり、あらゆる面で大陸由来の文明に強い影響を受けるようになっていた日本でしたが、それは「文様」についても同様でした。
そこで今回は、社会制度や技術・文化などの大陸文明と共に取り入れられ、独自の発展を遂げていく【日本の文様】の歴史をその時代ごとに簡単にまとめてみました。
縄文・弥生時代に見られた原始的な幾何学文様
日本で最も古く文様の萌芽が現れるのは縄文時代で、主に土器にあしらわれたことが有名です。単純に人の爪をはじめ、貝殻や縄目などの当時身近であった物質を用いた簡単なものから、中期頃には火焔土器に見られるような、ダイナミックな表現も現れました。
このようないわゆる幾何学的な文様を、土器に用いるという文化は日本固有のものではなく、古今東西の原始文明に見られる現象です。ちなみに【幾何学文様】とは、円形や多角形を基本とした単純な図形を用いて、回転や反転、拡大・縮小、平行・垂直移動などの一定の変化を加えながら、それらを連続して展開した模様のことを言い、その性質上、無限に展開することも可能とされるものをいいます。
これら日本における幾何学文様は、縄文中期以降、シンプルな形態が好まれるようになった土器に合わせて洗練化され、弥生時代になる頃にはスマートな印象を持つものに進化しました。
古墳時代には具象文様が隆盛
【具象文様】とは、動物や植物などの具体的な物質をモチーフとして作られた文様のことをいいます。ちなみに「具象」の反対語は「抽象」です。
この具象文様は、古代中国の影響を受け、後期弥生時代の金属器である銅鐸・銅鏡にはすでに見られましたが、隆盛を極めるのは古墳時代になってからです。
古墳に埋葬された金属細工などに、動植物文様やオリエント由来のパルメット文様、古代中国由来の龍文様などが見られます。